1995.5-6. キャラメルボックス・アコースティックシアターVOI.3
『ヒトミ』 使用曲目リスト
→「★」……SPIRAL LIFEニューアルバム『FLOURISH』より(6/25発売)
→「CHEEKY -Piano Version」は、吉澤瑛師さんの、『ヒトミ』のための演奏です。

No. シーン 曲名
0 DJエンディング MAYBE TRUE/SPIRAL LIFE(5/25発売マキシシングル)
1 オープニング CHEEKY -Piano Version
2 立ち上がる GARDEN(★)
3 交通事故 WHERE YOU FROM? WHERE YOU GOING?
SPIRAL LIFE(SPIRALMOVE TELEGENIC2 )
4 目覚める CHEEKY -Piano Version
5 医師たちの経過報告 LET ME BE(★)
6 あつこの思い出 CHEEKY -Piano Version
7 言えなかった言葉 CHEEKY -Piano Version
8 岩城の糾弾 FIDDLE TOWN / IRA STEIN(NARADA PIANO SOLOS)
9 典子のピアノ CHEEKY -Piano Version
10 佐久間のテスト CHEEKY -Piano Version
11 医師たちの経過報告 FIDDLE TOWN / IRA STEIN(NARADA PIANO SOLOS)
12 ハーネスをはずす CHEEKY -Piano Version
13 病院脱出 GARDEN(★)
14 海辺 STEP TO FAR(★)
15 小沢が訴える CHEEKY -Piano Version
16 本当の気持ち NERO(★)
17 ピアノを弾く CHEEKY(★)

【解説/選曲担当加藤昌史】
今回という今回は、本当に苦しみました。2本連続公演という無茶な状況。しかも、できてきた真柴あずきの台本は今までのキャラメルの芝居とは違って(ご覧になった方は「なあんだ、いつも通りのキャラメルの芝居じゃん」って思われたかも知れませんが)、緩急がない、というか「ここが見せ場」っていうのがない。そのくせに「ヒリヒリするような芝居にしたいの」なんて言うんです。そんなの、SPIRAL LIFEがすっげー新曲を出してくれない限り無茶だよ、まったくぅ。「新しいこと」をやってくれるのはいいけどさぁ、もうちょっと時間の余裕がある時にやってよねぇ、なんて思いながら選曲を始めました。 昨年のアコースティックシアター『アローン・アゲイン』の前に電撃的な出会いをしたのが、初めて楽曲提供してもらったSPIRAL LIFE。で、今年のアコースティックシアターではまた新しいミュージシャンを見つけよう、とCDを聴きまくりました。SPIRAL LIFEと組んだおかげで、いろんなレコード会社から見本盤を送っていただけるようになったり(本当は東芝EMIのが欲しいんだけどなあ。やっぱ、ロックは東芝でしょう!……なんて書いておくともらえたりして!!)、音楽畑の人たちから「これ知ってる?」とテープをもらったりとか、恵まれた状況になってきていたので、実を言うといくつか目星をつけていたバンドもいたのです。

ところが。今年の1月頃でした。3月からSPIRAL LIFEが6月発売の新譜のレコーディングに入る、というニュースが入ってきたのです。

でも、昨年以来彼らのライブに通っていた僕は、今度のアルバムの彼らの音が、アコースティックシアターには合わない方向にいくであろう、と予想していました。なぜなら、ライブでの彼らの選曲や演奏スタイルは、ブリティッシュ・ロックというよりも、ハードロックというかパンクのような色を強めていたからです。

しかぁし!! 2月のある日、ポリスターレコードからSPIRAL LIFEの「デモのデモ」というテープ(つまりまだメンバーが適当に演奏して録音しただけのもの)が届きました。これを聴いてびっくり。ライブではあんなに暴れていたSPIRAL LIFEが、なんとメロディアスな曲をレコーディングする準備をしていたのです。そのテープを聴いて「これはもしかして……」と思っていたら、その後3月28日に届いた「ラフ・ミックス」のテープは、もうびっくり。『NERO』を除く今回使わせてもらった数々の名曲がすでに録音されていたのです。そして、一番驚いたのが、『GARDEN』。3/25に発売されたアコースティック・アルバムに収められた静かな曲が、むちゃくちゃカッコイイロックミュージックに変身していたのです。で、すぐにそのテープを成井に聴かせたら、「よし、『ヒトミ』はこれでいこう」と言い出してしまったのです。 その日から、「キャラメルボックスwithSPIRAL LIFE」の第三弾がスタートしました。

そして、ロサンゼルスに最終のレコーディングに行っていたSPIRAL LIFEが帰国した翌日の4月13日。この時初めて、ロスで突如作ったという『NERO』を聴かされました。シンプルなメロディに秘められた「思い」。思わず、涙してしまいました。

結局、“ピアノ”がストーリーのキーワードとなってきたため、SPIRAL LIFEのディレクターの篠原さんにいろいろと手を尽くしていただいた結果、なんとSPIRAL LIFEのレコーディングやライブでキーボードを弾いている吉澤瑛師さんが面倒を見てくださることになってしまいました。

通し稽古を見ていただいたり、オリジナル曲を作ってもらっちゃおうか、なんていう打ち合わせをした結果、ニューアルバム収録の曲で今回のラストシーンを飾る曲になった『CHEEKY』を、インプロヴィゼーション(即興)で長い時間弾いて、その中からポイントポイントで使っていこう、という方向性が出てきました。

そういうわけで、劇中でいろんな表情をもって現れる『CHEEKY』は、元は20分もある一つのトラックだったのです。

なんだか、この作業を通して一つの「キャラメルボックスの音楽」の方向性が見えてきた気がします。果たして、それが何なのか。これからの十年でゆっくりお見せして(お聴かせして)いきたいと思います。
[1995.5.20.MasafumiKatoh]

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